【心理学テクニック1】フォーカシング

フォーカシング(Focusing)とは?

フォーカシングとは、
「身体の感覚を通して、自己理解を深めていく」技法のこと。

フォーカシングを提唱したアメリカの心理学者・ジェンドリンは、
日々のカウンセリングの中で

早く良くなる患者 と なかなか良くならない患者

がいて、その違いは何だろう??と研究していました。

その結果、よくなる患者は、

「自分の気持ちを探りながら、言い淀みつつも何とか言葉にしていこうとする」

という特徴があったそうです。

カウンセリングの効果がある人(フォーカシング)

そこからジェンドリンは、自分の中で起きている
「何かまだはっきりしない意味を含んだ、漠然としたからだの感じ」
に注意を向けることが大切だとして、
そのからだの感じを「フェルトセンス(felt sense:感じられた意味)」と名付けました。

そしてこのフェルトセンスにフォーカスする(集中、ピントを合わせる)方法を
フォーカシングとして体系化、提唱しました。

フェルトセンス(フォーカシング)

フォーカシングの方法

フォーカシングの基本的な流れはこちら。

フォーカシングの流れ1
フォーカシングの流れ2
フォーカシングの流れ3

※フォーカシングは上記以外にも色んな方法があり、
「これが絶対!」ではないので、やってみてしっくり来ないところは自分流にアレンジしてみるといいかもしれません。

一人フォーカシングは「ながら」がおすすめ

<注意点>
強い感情が出ている間は、フォーカシングに向かない。ほどよい距離で感じられるまで待ってみる。

フォーカシングをやってみて

私はよくノートを使って内観をしている様子をマンガに描いていますが、そのベースにはこのフォーカシングがあると思います。

フォーカシングをすることでフェルトセンスを見つめていくと、自分が思いもよらなかったメッセージを受け取ることもあります。

「こんな答えが自分の中にあるなんて!」とびっくりしたり、感動して涙が出たりすることも…

とはいえ、たとえそのような劇的な体験がなかったとしても、

自分の感覚に注目することそれ自体が、単純にとても心地よいです。

例えるならば、「母親に温かく見守られてる子ども」になったような、自己肯定感が高まる感覚です。

フォーカシングでは、自分のフェルトセンスに対して、

注意を向ける
優しい好奇心を持つ
適切な距離を取る

というような態度をとることを大切にするそうですが、

まさにこれは、カウンセラー的態度ですし、子どもの主体性を尊重するお母さん的態度ではないでしょうか。

それを「自分が自分にする」でも、想像した以上に温かく嬉しい体験になると思います。

フォーカシングは自己対話

それと、フォーカシングでは、
「出てきたものを受け止める」「ただ一緒にいる」という姿勢を大事にしています。
(これもカウンセラー的です…!)

私の場合、出てきたものの原因を知りたくなり、過去の思い出を振り返ったり、出来事の意味を考えることも多いのですが、
やっぱり一番大切なことは「自分の中の感情をしっかり受け止める・感じ切る」ことにつきるな…と思っています。

そのため、人によっては「受け止める」さえ出来たら、何が原因かなどは全く知る必要がないのかもしれません。

頭で考えすぎず、
心と身体で今の自分をそのまま受け止めることが、癒しの一番本質的な部分なのだろうと思います。

おすすめな人&参考図書

フォーカシングは全ての人におすすめしたいですが、得におすすめなのは

・自分の気持ち(何が好きか、嫌いか)がよくわからない人
・これから自分と良好な関係を築きたい人

です。

漫画でも自分と仲直りする方法の一つとして描いていますが、
毎日のランチで何が食べたいかを自分に尋ねる作業も、フォーカシングと言えると思います。

日常の中にそのような小さなフォーカシングをちりばめていくことで、
よりフェルトセンスを敏感に感じやすくなっていきますし、
それに慣れると大きい決断もしやすくなっていきます。

たとえば、進学と就職のどちらを選べばいいのか?とか、

A社とB社、どちらを選ぶのが私にとっていいだろうか?とか。

そんな難しい選択に迫られた時もフェルトセンスとの対話を日頃からしておけば、
自分の感じ方の微妙な違いがわかるようになっていくのではないでしょうか。
そうなれば、これ以上ない心強い指針になります。

一方で、人によっては劇薬といえるかもしれません。

特に今まで自分の本心を見ないふりをすることで、
周囲や社会のルールにうまく溶け込めていた人にとっては、自分の本当の気持ちを知ることは不都合があるかもしれません…

そしてずっと無視しつづけていた自分の中身を見ることに、最初は恐怖を感じるかもしれません。(私も自分の中身(インナーチャイルド)を見た時、貞子みたいでした…)

でも最初だけ勇気を出してしまえば、
その後は自分を知ることを通して満たされることばかりです。

ちょっと心理学から話はそれるのですが、
スピリチュアルでは

「本当の自分と距離ができると、その人は孤独を感じるようになる」

という説があります。

普通に考えたら孤独の原因って、友達がいないからとか、家族と疎遠だからだとか、そんな風に外側の状況で判断しますよね?

そうではなくて、
本当の自分とかけ離れたことをしたり考えたりしているから、その距離の分だけ孤独を感じるというのです!(驚)

そうだとするなら、どれだけ社会に適応できたとしても、本当の自分から離れていたら幸せになるのが難しいということ…。

それなら私は、自分の内側にあるフェルトセンスを見つめて、自分らしく生きる方を選びたいと思います…!

皆さんは、どちらを選びますか?

最後に本の紹介です。私はこちらの本でフォーカシングについて知りました。

マンガで学ぶフォーカシング入門 :からだをとおして自分の気持ちに気づく方法
created by Rinker

 ※絶版になっているようで、リンクは中古のみになっています( ;∀;)

マンガやイラストが描かれているおかげで、抽象的なフォーカシングのイメージがかなりつかみやすかったです!
読んでいてホッと癒されるような、あったかい気持ちになるので、以前からとても好きな本です。

陥りがちな罠(うまくできてないんじゃ…と疑ったり、頭で考えすぎてしまったり等)への対処についても書かれているので、フォーカシングを実践したい方の入門書としておススメです。

図書館や古本屋にはあるかもしれませんので、興味のある方はぜひご一読ください。

それでは、長文にかかわらずここまでお読みいただき、ありがとうございました!

↓↓心理学の使えるテクニック2,3はこちら↓↓

コメント